

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2001-09-02 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
休みがとれない! と高校生の皆さんの夏休みをうらやましがっていましたが、わたしもやっと休暇を迎えました。実に3年ぶりのまとまった夏休み。といっても、週末をはさんで5日間ですから「長期休暇」と呼んでいいのかどうか。ま、何はともあれ、ゆっくり休みを満喫しました。
8月23日〜26日まで開かれた第26回湯布院映画祭に、初日から最終日まで参加したのです。九州・大分県の有名な温泉リゾート地・由布院で毎年夏に開かれるこの映画祭は、四半世紀以上の歴史をもつ日本映画の祭典。朝から晩まで全部で20数本の作品が上映され、全国から集まる数百人の日本映画ファンと、ゲストに招かれた十数人の監督、脚本家、プロデューサー、俳優などの映画人とが交流する場でもあります。
わたしも当然行きたい。就職したての頃は余裕がなくて不可能でしたが、この十何年は毎年欠かさず参加しています。休みがとれない年は土日だけ。今年は3年ぶりに完全出場というわけです。俳優の奥田暎ニさんが初監督した『少女』(R-15指定なので高校生なら見られます。ヒロインの生き方を、同世代としてどう受け止めるか、ぜひ観てほしい)、平山秀幸監督『笑う蛙』(今度直木賞を受賞した藤田宜永の小説を映画化した傑作人間コメディ)、高橋伴明監督『光の雨』(連合赤軍リンチ殺人事件を題材に若者たちの心象を描きとった秀作)など5本の新作と特別上映された韓国映画『リメンバー・ミー』を観てシンポジウムやパーティでそれらについて語り合いました。
映画の話は限りがない。4晩とも朝まで呑み明かすことになってしまう「酒と映画の日々」でした。せっかく温泉にいるというのに、ゆっくり露天風呂を味わえたのはたったの1回という有様。それほど楽しい5日間でした。映画は観て面白がるだけじゃもったいない。どう思いどう感じたかを語り合うことにも、大きな意味がある。わたしは高校生時代に映画評を書き始め、後には「映画評論家」として仕事をするようになったのも、自分の観たものについて語りたかったからなのです。
今までの学校教育は、語り合うことなどのコミュニケーション面を軽視していました。中学、高校と進むにつれ個人がテストで何点とるかにだけ焦点を当てた教育になってしまっていた。それを「変えなけりゃ」と思っています。