

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2001-08-26 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
30年前の鹿児島における「街頭補導」の話の続き。
高校生が繁華街をうろついていると、即、補導の対象になるのです。もし、今の東京でこんな制度があったら渋谷なんかたいへんでしょうね。補導される高校生がバス何台分にもなっちゃう。
うろついているだけでチェックが入るんですから、喫茶店、映画館、ボーリング場(当時は空前のボーリング・ブーム)なんかに居ようものなら完全にアウトです。年に数本の高校生許可映画なら許されるとして、たいがいの作品は不許可扱いでした。アメリカ映画『風と共に去りぬ』を観に行った同級生たちが大量補導され学校から始末書処分を受けた事件もありました。わたしは日本映画しか観ないおかげで難を免れましたが。
補導員は、警察官とは限らない。今で言うボランティアみたいなおじさん、おばさんも多かった。いや、警察の少年課の係官たちだって、盛り場を回るときは私服です。同級生で、喫茶店にきれいなお姉さんが座っているので見とれていたら実は婦人警官で補導されてしまったヤツがいました。だから全く油断ならないのです。
わたしの場合、悪運強くも補導される羽目に陥ることはなしにすみましたが、ピンチはしばしばありました。授業をサボって映画を観ていたら、客席に制服の警官が入ってきたことがある。見つかるんじゃないかと、気が気じゃありませんでした。半分はスクリーンを見て、半分は警官の動静に神経を向けてハラハラしていました。暑い日で、パトロール途中に涼みがてら映画館を覗いたらしく、しばらくして出ていきましたが、心臓には良くなかった。
家を出にくい夏休み、土曜の夜中に勉強部屋の窓から抜け出してオールナイト興行の映画を観に行く途中、職務質問に遭ったこともあります。夜中だからバスも電車もない。天文館という繁華街まで徒歩片道40分くらいの道のりを歩いて行くのです。夜中に若い男がひとりで歩いているのだから十分怪しいですよね。大学生だと名乗って、映画を観に行くところだと言ったらその刑事さんも映画ファンだったようで「そうか、映画か」と通してくれました。
今の高校生の皆さんは、こんな目に遭わなくてすんでいいなあ。自分の行動に自由があるというのは何よりです。それは同時に自分の行動に責任を持つということでもあり、たいせつなことだと思います。残り少ない夏休み、自分の責任で自由に行動し、有意義な時間を過ごせるといいですね。