

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2001-08-05 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
8月2、3の両日、「大検」こと大学入学資格検定の試験が行われました。
大検についてはご存知ですよね。何らかの事情で高等学校に行かなかったり中退したりしたために大学入学資格を持っていない人に対して、試験に合格することでその資格を与えようという制度です。昨年度は約2万人が受検しました。
わたしは、この仕事に長くかかわってきましたし、できるだけ多くの人に広くチャンスが与えられるべきだと考えてきました。別に個人的思い入れではありません。「生涯学習」という言葉を聞いたことがあると思いますが、今、文部科学省が進めている教育政策の基本理念がこれなのです。すなわち、人間の一生涯の中で、いつでも、どこでも、だれでもが学習できるチャンスを保障できるようにしていくのが命題。だとすれば、高校へ行かなかったからといって大学で学ぶ機会が失われていいはずがない。常に門戸が開かれる可能性を用意しておくのが、教育行政の責任というものでしょう。
その意味で、大検というシステムは大切です。受検する2万人のためだけではない。すべての人にとってのセーフティネットとして存在しているのです。できるだけ受検しやすいようにしたいし、ふるい落とすための試験でなしに合格してもらうための試験というポリシーを貫く必要があります。そこで、受検しやすいように科目数を減らしたり、たとえば英検のような他の検定試験などの成績を流用できるようにしたりしました。問題も、基礎的なことがわかっているかどうかを問うようなものに改善してきました。
それでも、酷暑の夏に年1回だけの受検機会というのが気になっていました。
それを、今年からは8月と11月の年2回に増やすことができ、とてもうれしく思っています。予算上の問題をクリアし、労力もいとわず2回実施実現に努力した担当職員たちの願いも、わたしと同じでした。
だからといって、高校へ行かなくてもいいとか中退してもいいとか、けしかけようというのではありません。ちゃんとセーフティネットが張られているのを意識しながら、自分で納得のいく高校生活を送ってもらえればと思うのです。