

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2000-09-12 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
以前このコラムで、韓国国立アニメーション高校についてご紹介しました(バックナンバー#144)。この、世界でひとつしかない漫画、アニメ、映画、TV、ゲームなどの専門高校に関しては、読者の皆さんの反響も少なくありませんでした。こんな高校、日本にもあったらいい、と誰でも思うものね。
でも、日本にも世界でひとつしかない高校はあるのです。大阪府立東住吉高校芸能文化科は、日本の伝統芸能、伝統文化を専門に学べる唯一の存在であり、1991年に設立されました。普通科と併設の形で1学級40人が学んでいます。
授業科目の三分の一が芸能文化の専門科目です。「芸能文化総論」「舞台芸術論」「芸能各論」「芸能特論」といった理論学習と、「創作実習」「劇表現」では長唄、落語、能狂言、日舞、演劇などを実際にやり、「舞台技術」では照明や舞台美術の技術を習得します。
実習棟には、小劇場なみのりっぱな舞台があって、プロが使うのと同じステージや舞台装置で学習できるのです。教えてくれるのもプロ。大倉流小鼓方宗家・大倉源次郎、落語家・林家染丸、大蔵流狂言師・茂山あきら、藤間流舞踊師範・藤間豊宏、観世流能楽師範・山本正人、邦楽演奏家・杵屋勝欣次、邦楽演奏家・中桜津栄普…
各ジャンル第一線の実演家が直接指導してくれるし、他にも放送作家やテレビ局、舞台制作関係者など22人の特別非常勤講師が名前を連ねています。【ホームページはhttp://www.osaka-c.ed.jp/higashisumiyoshi/】
公立高校は、普通は県外からの入学を認めない場合が多いのですが、ここはなにしろ世界でひとつですから、大阪府以外からの生徒も受け入れています。現在は、奈良県、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県から来ているそうです。
学科ができたときにはマスコミにも大きく取り上げられたのですが、その大半は、大阪=吉本という発想で、漫才師を養成するのか?
など興味本位のものだったように記憶します。そんなことはない、きっと新しいコンセプトで芸能や文化を学ぶ場になっているはずだ、とわたしは思っていました。
実際はどうか?
それを確かめるためにも一度訪ねたいと願っていたのですが、やっとそのチャンスがめぐってきました。9月2日、文化庁が進めている「関西から文化力」キャンペーンの一環として、①生徒による「実習授業」披露
②わたしの講話
③生徒たちとわたしの対話
というプログラムが組まれたのです。
その日の模様は次回に…