

京都造形芸術大学教授。映画評論家。NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター。「『子どものため』は大人の身勝手。子どもは人質ではない。いますぐできる『学校を楽しくする方法』を教えます」と、文部官僚時代より教育問題に刺激的・積極的に発言する。2006年11月文部科学省を退職。
2012-01-29 号
寺脇 研(NPO教育支援協会チーフ・コーディネーター)
前回の最後のところでご紹介した映画『はさみ hasami』には、それ以外にも困難を抱えながら理容師、美容師を目指して学ぶ理美容専門学校の学生たちが登場します。
母親が亡くなってすぐ父親が再婚したのに傷つき不登校ひきこもりになってしまっていたのを、この学校に入るのを機会に思い切って社会に出ようとして苦闘する男子学生。足が不自由なのを克服して手を使う仕事である理容の道で活躍することを夢見て励む男子学生。自分に自信が持てず、どうせわたしなんかダメだといじけて学校に来なくなる女子学生… どの子も何かしらの苦しみを乗り越えようとしています。
それを助けてやろうとする先生方や事務職員の努力には、見ていて胸が熱くなります。学生たちの家やアパートに家庭訪問して励まし、夜遅くまで学校での特訓の相手をする先生方のエネルギー源は、学生に対する愛情です。前回触れた女子学生は奨学金をギャンブル狂いの父親が使い込んでしまい学費が払えなくなってしまうのですが、それをなんとかできないかと、住み込みで美容師見習いに雇ってもらえる店を探し夜間部で学べるように手配する先生や事務職員がいます。
ここにあるのは、大人たちが若者の夢を支えようとする心意気です。こんな学校がもっとたくさんあれば、どんなにすばらしいことでしょう。大人が若者のために動いてこそ、次世代が育ち、すばらしい社会が生まれます。
しかし、映画と違って現実には、若者に手を差し伸べる大人はなかなかいません。皆さんの高校の先生方はどうですか? 生徒を応援してくれる先生が多い学校に通っている人は幸せですね。でも逆だったら… 。
高校生や大学生に、お前たちは「ゆとり世代」だから力が低いと根拠のない悪口を言う大人もいっぱいいます。若者の悪口を言って、何が楽しいんだろうと思ってしまいます。若者に夢を持ってもらい、その夢の話を聞き、夢の実現をお手伝いするのが大人の楽しみというものだろうに。わたしには理解できません。
先日、わたしの連絡先を自力で調べた四国の高校一年生から、放送部で作る番組のためにインタビューに応じてほしいというメールが来ました。もちろん、OKです。電話インタビューに協力しました。電話でやりとりしていると、良い番組を作ろうとしている意気込みが伝わってきて、ますます応援したくなります。力を貸してあげることができて、とてもうれしい体験でした。