2005-08-25 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
高校生の皆さんは、もうすぐ夏休みもおしまいですね。
夏休みって、始まる頃は永遠につづくような気がするのに、
ふと気がつくと、あっという間に終わってしまう……フシギです。
今日は、そんな夏のおみやげとして、
この夏に行われた映画イベントや会見の模様をご紹介したいと思います。
まずは、公開中の映画『姑獲烏の夏』の公開直前イベント。
主演の堤真一さん、原田知世さん、田中麗奈さん、
そして実相寺昭雄監督、原作者の京極夏彦さんが顔をそろえた豪華なこのイベントは、
なんと上野の東京国立博物館の敷地内で行われました。
しずかに時を刻んできた歴史ある白い石造りの建物の前に用意されたレッド・カーペット。
イベントのはじまりを待つ間、水色だった空がだんだんと濃さを増し、暮れていく様子は、映画の雰囲気を彷彿とさせ、なかなか印象的でした。
さて、このイベントで、ちょっといい、忘れられない場面がありました。
それは、終盤。映画をイメージした、赤い羽根が上から降ってきて、
登壇した方々の周りを羽根が舞う……という演出の直後のこと。
そのまま、マスコミ向けの写真撮影が行われたのですが、
カメラに体を向けるほかの4人の方々の中で、
なぜか監督だけが足元に舞い散った赤い羽根を、丁寧に取り払っていらっしゃる。
おそらく、写真に写る際のビジュアルを気にされたのではないか……と、
これは単なる憶測ですが、
映画監督のこういう場面を見つけると、なんだかうれしくなります。
以前、別の監督に映画祭でインタビューをしたときのこと。
やはり、その監督も独自の映像美に定評のある方だったのですが、
監督の写真を撮る際に、どうしても用意されたその場の背景が気に入られないご様子。
映画祭の狭い会場の中で、監督ご自身が見事にフォトジェニックな場所を見つけてこられ、
そこで撮影をしたという経験があります。
適当に済ませられない、譲れない何かがあるって、
素敵なことだなあと、あらためて思います。
それが、才能と呼ばれるものなのかもしれません。
さて、もうひとつは、7月末に行われた、
日本でも公開予定のレアル・マドリッド公認の映画『レアル ザ・ムービー』の
記者会見の模様。
この映画は、
ロッカールームの模様や、試合直前のミーティングなど、
これまで明かされたことのない選手たちの様子が公開されるドキュメンタリー映像に加え、
東京、ニューヨーク、ベネズエラ、セネガル、そしてマドリッドの5都市を舞台に、
各選手についての5つの物語が交錯する……というもの。
間近で見た4人は、やはり、大舞台に慣れていて、とても自然。
こんなに格好よくて、しかも驚異の足や、跳びぬけた能力をもっている……。
映画監督に、サッカー選手。
人をわくわくさせる才能って、素敵だなあ……とあらためて思った夏のイベントでした。