2005-08-18 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
人が何かを信じている様子というのは、他の人を目覚めさせるし、
何かを信じているゆえの、迷いのない心の平穏というのは、本当にいいものだなあ……
と、この映画を観ていて思いました。
マザー・テレサの名は多くの人の知るところですが、
この映画を観ると、
当時、修道院にいた彼女が、インドの貧しい人々の中に入っていくということが、
いろいろな面でどれほど困難なことだったか…その片鱗を感じとることができます。

いろいろな困難に遭遇しながらも、
信じる気持ちが揺るがない彼女の、地に足のついた、シンプルな姿勢が、本当に美しい。
「ストラテジー(戦略)は、要りません」
「わたしは、シンプルが好きです」
劇中に登場する彼女の台詞、ひとつひとつが胸に響きます。
マザー・テレサを演じたオリビア・ハッセーは、
フランコ・ゼフィレッリ監督の『ロミオとジュリエット』(1968)で
ジュリエットを演じた人。いまもこんなに可憐です。
同じくゼフィレッリ監督の『ナザレのイエス』(1977)で聖母マリアを演じた彼女は、
マザー・テレサの役をずっと演じたいと思ってきたのだそう。
「20年間、準備してきたような役」とはご本人の弁。本当にぴったり。

会見には『復活の日』(1980)で共演した草刈正雄さんが駆けつけました
マザー・テレサの偉業は、世界中が知るところとなったけれど、
彼女がしてきたのは、「小さな愛の行い」。その様子がストレートに胸に届きました。
日常のなかでめぐり来る、ひとりひとりの人との何気ない出会い。
会った人ひとりひとりを覚えているマザー・テレサ。
出会った人に“My child”と言いながら、相手の頬を包む彼女の様子を見ていて、
大切なのは、目の前の人、そしてこの小さな瞬間なのだということ、
あらためて感じさせられました。
観た人の中にしずかに宿るような作品。
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公式サイト:http://www.motherteresa.jp