2005-08-11 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
ゆるい。でも、すごく熱い。
よかったなぁ……、この映画。
映画の冒頭で、水色バックに白文字のタイトルが出て、
登場人物の女の子が校舎の廊下を歩いていくシーンが映し出されるのだけれど、
このシーンの空気感がすごくいい。
夜明け前という感じ。
なにかが起こる、なにかがはじまる、高潔で土くさい、まっさらな状態。
主人公は、あるきっかけから、メンバー同士が大喧嘩してしまい、
文化祭のライブ本番3日前に、決裂してしまった女の子バンド。
やめる?どうする?
リーダー的存在の恵(ケイ)が出した結論は、「文化祭に出る」。
部室にあった古いテープを探るうち、彼女たちが見つけたのはブルーハーツ。
でも、歌う人がいない。
喧嘩したメンバーとは結局、折り合いがつかぬまま、
たまたま彼女たちの前を通りかかった、韓国から来た留学生のソンさんをヴォーカルに、
彼女たちは本番をめざす……。

3日間でライブ本番をめざす女の子バンド!……なんていうと、
やけにポジティブな青春ドラマみたいなものを想像する人もいるかもしれないが、
この映画は、すごく地に足がついている。
嘘っぽい、どこかで観た典型的なイメージみたいなものが一個もない。
気になる男の子から家に電話がかかってきたのに、弟が後ろで腹筋していてうるさいとか、
家でギターを練習していると、周りで弟たちがうろうろ、だらだらしているとか、
「あるよな〜、こういうの」な日常感が、ふつふつと醸し出される。
笑っちゃったり、キュンとしたりしながら、本当に「何気なく」引き込まれていく。
友達と一緒にいると、もう何年も一緒にいるのに、
やっぱり、●●(友人名)のこういうとこサイコーだな〜とか
あらためて思ったりすることがある。
予想のつかないところにある、楽しかったりうれしかったりして仕方のない瞬間。
バンドのメンバー4人のそういう瞬間が、物語のなかでちょこっとずつ顔を出していく。
何が楽しかったのかと聞かれても絶対答えることのできない、「く〜」な感じ。
物語のもともとのきっかけになったメンバー同士のあつい喧嘩も、いい。
ゆるゆるで、熱い。
この映画にグっときたら、この監督(山下敦弘監督)の過去の作品もゼヒ。
公開中。
公式サイト:http://www.linda3.com/