2005-05-26 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
人への接し方や、コミュニケーションの癖のようなものは、
兄弟構成に影響を受けるところが大きいような気がします。
生まれて物覚えついたときから上の兄弟がいた人は、
どうしたって兄や姉を意識せざるを得ないし、それは兄や姉にとっても同じ。
この映画は、そういう兄弟間の感情や、
親子の関係がとてもリアルに描かれていて、印象的でした。
深田恭子と共演したTVドラマ『フレンズ』で日本でも人気を集めたウォンビンの主演作。
でも、この映画は人気スターの主演映画といった風情ではなく、
リアルな兄弟の、そして親子の物語。
主人公は、生まれ持った病気を抱えている情緒豊かで心やさしい兄と、
喧嘩が強い、ガキ大将的な弟。
冒頭で、兄弟の母親が女手ひとつで彼らを育てたことがわかります。
ひとりで、ふたりの息子を立派に育て上げる覚悟をした母親は、
経済的にも、精神的にも、必死に子供たちに向かっていくのです。
ところが、母親にとっては、
喧嘩が強く、放っておいても逞しく学校生活を送る弟よりも、
体が弱い兄の方が、どうしても気になってしまう。
弟にはそれがどうしようもなく不満で、ついつい優しい性格の兄に辛く当たってしまう。
そして、兄もそのことを察している。
兄弟や親子の間に生じる、ちょっとした歪み。
客観的に見れば、たいしたことではないのですが、本人にとっては大きな問題。
そんなモヤモヤが、とてもリアルに描かれています。

母親や弟の感情のあらわし方は、なかなか激しく、
このあたりは、国民性の違いもあるのかもしれませんが、
家族のあり方は本当にそれぞれ。
日本の家庭の中にも、
このくらいラテンなぶつかりあい方をする家庭もあるだろうし、
逆に、なかなかぶつかりあえないという家庭もあるのだろうと思います。
いずれにせよ、家族は一大コミュニケーション&ネゴシエーションの場。
ありのまま感情をぶつけあって、ストレートに話し合う、
この映画の親子がそのことをたっぷりと感じさせてくれます。
やがて兄弟は成長し、
勉強のできた兄は医学部に入学し、弟もそんな兄を応援するのですが、
そんなふたりを待っていたのは、あまりに意外な展開だった……。
28日より公開。
公式サイト:http://www.my-brother.jp/