2005-05-19 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
世界史の授業で耳にしたかもしれませんが、
この映画は、12世紀を舞台にした、十字軍の騎士たちの物語です。
といっても、決して難しい映画ではなく、
鍛冶屋の若者が、本人の意図しないところで勇者となっていく……
そんな、ひとりの人間にとっての「生きること」を描いた作品でもあります。
主演は、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作で注目されたオーランド・ブルーム。
愛する妻と子供を失い、失意のさなかにいた鍛冶屋の青年が、
民衆を率いる指導者になっていく…そんな主人公バリアンを演じています。
彼にエルサレムの平和維持の願いを託す十字軍の騎士である父親役に、
『スターウォーズ』のエピソード1、2のリーアム・ニーソン。
ほかにも、『ダメージ』の父親役など退廃的な役柄の似合うジェレミー・アイアンズや
バリアンの恋の相手を演じるエヴァ・グリーンなど、魅力的なキャストが揃います。

この映画のタイトル…「キングダム・オブ・ヘヴン」。
「ヘヴン」な王国というと、皆さんは、何をイメージするでしょうか。
危うい状態で均衡が保たれているエルサレムを舞台に、
十字軍率いるヨーロッパ勢力と、イスラム勢力。
それぞれの指導者が、最後に下した決断とは…。
国際的に不穏なニュースを耳にする昨今、そこには、大きな意味が込められています。
監督は、『グラディエーター』(2000)のリドリー・スコット。
考えてみると、『グラディエーター』の主人公マキシマスも、妻子を失い、
失意の中から、剣闘士(グラディエーター)として自分を取り戻していく人物。
それぞれの苦難を乗り越え、自らのやるべきことを見出していく…
リドリー・スコットの映画は、息を呑むスケールの大きさが魅力ですが、
ひとりの人間の「人生」の物語であることに心を揺さぶられます。