2005-02-17 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
この映画、サイコーにおかしい。そして、ホロリと来てしまう。
何といっても、主人公のオジサン二人のおそろしく大人気ないこと!
ひとりは、プロ並みにワインに精通した、ほとんど「オタク?」な中学教師、マイルス。
小説家志望だが、現実はなかなか厳しく、
女性にオクテなため、2年前に妻と別れて以来、恋人はいない。
もう一方は、TVドラマやCMに出演する俳優のジャック。
謳歌していた独身生活にピリオドを打ち、今週末、ついに結婚する。
そんなジャックの最後の独身1週間を楽しもうと、
旧友であるふたりが、田園風景豊かなカリフォルニアのワイナリーをめぐる旅に出かける。
『サイドウェイ』は、そんなふたりの気ままな旅を追ったロードムービーだ。

大学時代のルームメイトだったふたりの性格は、正反対。
出会う女性、出会う女性と関係をもつ、本能の男ジャックに対して、
マイルスは、何年も前から顔なじみの、密かに想いを寄せている
行き着けのレストランのウェイトレスと挨拶を交わすのが、やっと。
一見、カラっと明るく、行動的なジャックは、
ちょっとしたことに傷つく、いじけやすいマイルスが、時に鬱陶しい。
でも、まったくタイプの違うふたりは、まさに凸凹コンビ。
互いの相当に情けない部分を、
ほとんど“あやし合う”かのごとく、絶妙にフォローしあえる、さすがの旧友なのだ。
人生に悩んだり、恋をして戸惑ったり…
いろんなところにつまづきながら、旅をしていくふたりの姿を
両親や身近な大人たちと理解しあえないで悩んでいる高校生の人が見たら、
大人への見方が、ちょっと変わるかもしれない。
時に楽しく、時に切なく、
そして、かなり情けなく、とんでもなく展開していく、大人気ない二人の珍道中。
つまらないことに腹を立てたり、
キュンとしたり、
落胆したり、
友人の財布を命がけで奪還したり…。
なんとも大人気ないのだが、
泣いても、落ち込んでも、隣にはみっともないところを受けとめてくれる友達がいる。
そして、シビアな現実が目の前にあったとしても、その先には希望がある。
ジャック・ニコルソン主演の『アバウト・シュミット』(2002)もそうだったが、
この監督アレクサンダー・ペイン独特の、
シビアだけれどホロリとくる現実感、人生観にググっときてしまう。
「ピークを過ぎた、その味わいもまたよいもの」
ワインの熟成に、人生をたとえながら…
ふたりのサイドウェイ…寄り道だらけのこの旅が、人生そのもののようでもある。
3月5日(土)公開。
公式ホームページ:http://www.foxjapan.com/movies/sideways/
*10代の頃にこの映画を観た人が、20年後にもう一度観たら、また面白いかもしれません。