2005-02-03 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
1966年に製作された、フランス映画『男と女』。
10代で初めて観たときに、
なんて美しい映画があるのだろう…とうっとりしたのを覚えています。
その後、何度か観ましたが、何度観ても色褪せない。
映像の美しさ。
そして、なんといっても、フランシス・レイの音楽の美しさ。
主演のふたりも、本当に素敵です。
この作品は、カンヌ国際映画祭のパルム・ドール賞(最高賞)をはじめ、
多数の映画賞に輝きましたが、
この映画で広く世界に知られることになった監督のクロード・ルルーシュが、
この映画のアイディアを思いついたのは、
意外にも、撮り終えた映画『Les Grands moments』(1965)の配給会社が決まらず、
ほとんど破産状態で落ち込んでいたときだったといいます。
どうしたらいいかと思い悩んだとき、
ルルーシュは、決まって「疲れ果てるまで、車を乗り回す」のだそうで、
このときも、この映画の舞台になるフランス・ドービルまで車を走らせたのだといいます。
車中で眠り、朝、目が覚めると、ガラス越しに、
砂浜を散歩する、子供と犬を連れたひとりの女性が目に留まったのだとか。
こんな朝はやくに子供と散歩するのは、きっと何か理由があるのだろう。
たまにしか会えない貴重な時間なのかもしれない…子供が寄宿舎に入っていて…と
彼女について、いろいろ考えをめぐらせているうちに、
子供どうしが寄宿舎に入っている35歳くらいの男女が知り合い、恋をする
映画『男と女』のもとになるアイディアが、できていったのだそうです。
誰かを愛する歓びも、その人を失う悲しみも知っている大人の男女。
ふたりが惹かれあい、少しずつ距離を縮めていく……。
ストーリーは単純なのですが、映画は決して単純ではない。
悦びや不安や…言葉にならない恋の風景が、現在と過去を行き来しながら、本当に素敵に描かれています。
普段はハリウッドなどの大作映画しか観ないなあ…という10代の人が観たら、
ちょっとした衝撃かもしれません。
素敵な大人の世界、ぜひのぞいてみてください。