2005-01-13 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
今日、ご紹介する映画の原題は“STORMY WEATHER”。
日本で公開される際のタイトルは『陽のあたる場所から』。
映画を見終わると、どちらのタイトルにも、納得。
主人公は、ニューヨークに暮らす、若い研修医のコーラ。
精神科に勤める彼女は、
ある日、ひと言も言葉を発さない女性患者と出会います。
彼女は身元不明の患者さんで、
名前も年齢も、一体どこから、どうやって来たのかもわかりません。
そんな彼女が気になるコーラは、
彼女に自分の話をしたり、
勤務時間後もゲームの相手をしたり、
医師のプライベートな連絡先を患者さんに教えることは禁止されているにも拘らず、
彼女に自分の家の電話番号を教えたり……
精神科医の仕事範囲を越えて、彼女の心に届こうと、彼女に接し続けます。

次第に、彼女と心が通い合い始めたように感じていたコーラ。
ところが、いつものようにコーラが病院へ出勤すると、あの患者さんの姿がありません。
なんと、身元が判明し、祖国へ連れ戻されたというのです。
納得がいかないコーラは、
あの患者さん…これまで何度か失踪した経歴のあるロアという女性…の治療を続けるため、ロアの故郷アイスランドへ旅立ちます。
ところが、そこで彼女が目にしたのは……。
コーラを演じるのは、今年32歳になるフランスの女優、エロディ・ブシェーズ。
エリック・ゾンカ監督作『天使が見た夢』(1998)では、
カンヌ国際映画祭とセザール賞の両方で主演女優賞を受賞。
プライベートでは、ダフト・パンク(フランスのテクノバンド)の
トマ・バンガルデルの奥さんでもあります。
(*セザール賞とは、アメリカでいうアカデミー賞にあたるフランスの映画賞のこと)
対するロアを演じるのは、
これが映画初出演となる、アイスランドの詩人、ディッダ・ヨンスドッティル。
言葉を発することができないロアの、
感情が体中からほとばしり出るような、迫真の演技。詩人と聞いて、納得。
この映画は、コーラとロアの交流、そしてコーラの成長の軌跡を、
ただ、ありのまま、切り取っていきます。
そこに余計な説明は加えられていません。
ていねいに、ていねいに、二人に起きたこと、そして心の変化を追っています。
だから、現実に起きた出来事のように、
観る人によって、いろいろな受けとめ方ができる映画なのではないでしょうか。
監督は、アイスランド出身の女性ソルヴェイグ・アンスパック。
大学で心理学を学び、精神病理学の修士号をもつという彼女が、
在学中に、耳にしたある患者さんの話。
それが、この映画のもとになっているといいます。
アイスランドに着いた後、コーラが目にしたのは−。
1月22日よりシャンテ シネにて公開されます。
公式ホームページ:http://www.bitters.co.jp/hinoataru/