2004-12-23 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
いよいよ冬休み!ということで、年末やお正月に家で楽しめる、
ビデオやDVDになっている映画をご紹介したいと思います。
今日、とりあげるのは、『ひみつの花園』という日本の映画。
1997年の作品だから、いま高校生の人たちは小学生の頃の映画で
観ていない人も多いかな?と思うのですが、いかがでしょうか?
この映画は、『ウォーターボーイズ』(2001)や『スウィングガールズ』(2004)を手がけた
矢口史靖監督の長編劇映画・第2作目にあたる作品。
主演が西田尚美さんなのですが、彼女の爽やかなかわいさのおかげで、
イノセントなスーパー天然・主人公が、ふしぎな愛嬌たっぷりに着地しています。
主人公の咲子は、ごく普通のあたたかな中流家庭で育った女の子。
人と変わっているところといえば、人並はずれてお金がものすごく好きだということ。
幼い頃から、お金を数えては微笑み、預金通帳を見せては喜び・・・
そんな彼女が、晴れて銀行へ就職。しかし!なんと銀行強盗事件に巻き込まれ、犯人の車に乗せられたまま樹海へ連れ去られてしまいます。ところが、そこで犯人の車が炎上。咲子は、お金のぎっしり詰まった、大きな黄色いトランクと共に渓流の中へ投げ出されて・・・病院のベッドで目を覚ました彼女は、療養中に、あることを思い出します。
(ニュースでは、盗まれたお金の入った黄色いトランクごと車が炎上したと報道されているけれど、わたしはあの黄色いトランクが川の底に沈んでいることを知っている・・・)
その日から、彼女の目標は、あの黄色いトランクを手に入れること!
危険な樹海へ踏み入るために、猛勉強して大学に入りなおして地質学を学び、
樹海の中で険しい山々を登るため、ロック・クライミングをはじめ、
川の底に沈むトランクを取ってこられるようにスキューバ・ダイビングをはじめる・・・もう、まっしぐら!
お金が大好きな彼女は、「賞金」が出ると聞けば、スイッチ・オン。
スキューバの準備に通った水泳教室の大会で優勝し、
ロック・クライミングの大会でも初心者ながら優勝。
周囲の人々がビックリするのも気にとめず、
彼女の頭の中は、ただ、ひたすら黄色いトランクのことだけ。
そんな猪突猛進な彼女が、物語の最後で見つけるのは・・・。
矢口作品独特のコミック的な「間」、リズムで笑わせながら、
一気に見せてしまう、咲子の爽やかでブルドーザーな黄色いトランク探索記。
咲子の頭には、将来の希望とか、将来への不安とかはない。
あるのは、ただ、いま「お金がすき」という強い衝動だけ。
でも、この衝動に突き動かされるまま、咲子は目標を見つけ、
あらゆる行動を起こし、いろいろな人たちと出会っていく。
あらためて将来のことを考えなくても、
咲子の「いま」の強い衝動が、自然とつながって、気づかぬうちに未来の「いま」を作っている。
ラスト・シーンが爽やか。
咲子みたいな人がもっと歳をとったとき、どんな風に若い頃を振り返るのでしょうか。