2004-10-14 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
すっかり長袖にも慣れて、秋の気配も深まってきました。
秋といえば、いろいろな映画祭が開かれるシーズンでもあります。
今月の23日からは、渋谷・六本木を会場に東京国際映画祭が開催されます。
このコラムを読んで下さっている高校生の皆さんのうち、
かなり映画が好きな人以外は、
映画祭に行ったことがない人も多いのではないでしょうか?
なので、今日はこの映画祭のこと、簡単にご説明してみたいと思います。
今年で17回目を迎える東京国際映画祭。
公開間近の作品をいちはやく上映することもあり、
ハリウッドから華やかなゲストが来場することも話題のひとつ。
今年もクロージング作品(映画祭の上映スケジュールの最後の作品のこと)の『ターミナル』を手がけたスティーブン・スピルバーグ監督、主演のトム・ハンクスをはじめ、世界各国から、さまざまなゲストが来場します。
ゲストが来場することに関連して、
上映後のティーチ・インも、映画祭の楽しみのひとつ。
ティーチ・インとは、上映後に時間を設け、ステージ上に登場したゲストが、
何人かの観客から直接質問を受け、その場でその質問に答えるQ&Aの機会のこと。
上映後にティーチ・インがある場合は、
(ゲストが来場しない作品や、ティーチ・インがない上映もあります)
映画を観て疑問に思ったことを、
すぐにその作品の監督や役者さんに質問できるのです。
監督や役者さんを生で観ると、
次からその監督の映画や役者さんの出演作を観る楽しみも増すのではないでしょうか。
そして、さまざまな国の、ジャンルもテイストも本当にさまざまな映画を
一挙に観ることができるのも、映画祭の魅力。
この映画祭の上映作品は、
新たな才能を発掘する「コンペティション」、
これから公開される映画をいちはやく上映する「特別招待作品」、
鮮度のいいアジアの映画を上映する「アジアの風」、
世界に発信したい日本映画を集めた「日本映画・ある視点」という部門に分かれ、
そのほかに特別上映作品などがあります。
「コンペティション」では、
上映作品のなかから、グランプリをはじめとする各賞が選ばれるのですが、
今年の審査員長は、『男はつらいよ』シリーズでおなじみの山田洋次監督。
最新作『隠し剣・鬼の爪』も、特別招待作品として映画祭のオープニングで上映されます。
そのほかの審査員にも、
『ペパーミント・キャンディー』(1999)『オアシス』(2002)を手がけた韓国のイ・チャンドン監督、『エリザベス』(1998)を手がけたインドのシェカール・カプール監督、
レオナルド・ディカプリオが主演した『ザ・ビーチ』(1999)で彼と共演したフランスの女優ヴィルジニー・ルドワイヤンと、豪華な顔ぶれが揃います。
「特別招待作品」では、
『隠し剣・鬼の爪』『ターミナル』をはじめ、『ハウルの動く城』など
この冬上映されるハリウッド映画や日本映画の数々が、公開に先立って上映されます。
日本映画・ある視点では、
宮部みゆきのベストセラーの映画化作品『理由』もいちはやく上映されます。
そして、「アジアの風」では、「世界が嫉妬する」シャンプーのCMでもおなじみ、
『LOVERS』(2004)などに出演する中国出身の女優チャン・ツィーイーが、
3世代にわたる女性の人生をひとりで演じる『ジャスミンの花開く』など、
新鮮で楽しみな作品が集まります。
現在、熱い注目を浴びている韓国映画ですが、
活躍中の若手監督を多数、世に送り出した「韓国映画アカデミー」の卒業生20人による
オムニバス映画『20のアイデンティティー』の上映もあります。
参加メンバーは、日本でも話題になった『殺人の追憶』(2003)のポン・ジュノや
ペ・ヨンジュンの次回作を監督することも話題の、
『春の日は過ぎゆく』(2001)を手がけたホ・ジノなど豪華な監督たち。期待が募ります。
そのほか、関連企画として、
古きよき日本映画を上映する「ニッポン・シネマ・クラシック」、「東京アニメ映画祭」、
女性監督の映画を集めた「東京国際女性映画祭」、「東京国際ファンタスティック映画祭」などの映画祭が開催され、さまざまな趣向の映画が一挙に上映されます。
それぞれの映画祭のサイトに行ってみて、
自分の嗜好にあった映画祭さがしを楽しんでみてはいかがでしょうか?
(東京国際映画祭のサイトの「開催概要」から、それぞれの映画祭サイトへ行けます)
ほかにも、
『スウィート・ヒアアフター』(1997)のカナダの監督、
アトム・エゴヤンの作品を特集した「アトム・エゴヤン映画祭2004」や
『息子の部屋』(2001)のナンニ・モレッティ監督、
『かぼちゃ大王』(1993)のフランチェスカ・アルキブジ監督などの作品が上映される
「イタリアの90年代〜変貌するそのイメージ」、
アジアのショートフィルムを集めた
「ショートショート フィルムフェスティバル アジア2004」などが開催されます。
また、韓国映画を集めた「コリアン・シネマ・ウィーク 2004」では、
日本未公開の作品が5本上映されます。
ここに挙げた以外にも、まだまだ、いろいろな関連企画があります。
公式サイトやそれぞれの映画祭のサイトに行くと、
上映作品の出演者やあらすじを見ることができます。
日本ではあまり知られていない監督や役者さんの作品もありますが、
あらすじや紹介文だけを見て、気になる映画を探し、
何の前情報も先入観もなしに、すなおに映画を観に行くのも楽しいもの。
いまのあなたの状態にぴったり応えてくれる映画との出会いがありますように。
地方在住でこの映画祭に来場するのが難しいという人は、
コンペ部門の歴代受賞作品などを見て、
観ていない映画をビデオで借りてみるというのも楽しみ方のひとつ。
先週、ご紹介した
『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004)のガエル・ガルシア・ベルナルが出演している
『アモーレス・ペロス』(1999)も2000年にコンペ部門のグランプリを受賞しています。
また、映画祭はいろいろな立場の映画関係者が一挙に集まる機会。
映画の仕事に興味がある人は、
その雰囲気を感じるだけでもワクワクするのではないでしょうか。
この期間に上映される映画は本当にいろいろ、たくさん。
日頃は観ないような映画にもトライして、「映画の旅」を楽しんでみてください。
公式サイト:東京国際映画祭 http://www.tiff-jp.net/
(関連企画については「開催概要」を見ると、わかりやすいです)