2004-04-22 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
そろそろゴールデンウィーク。きれいな季節になりましたね。
からっと晴れて、空も青い。新緑もまぶしく、風もきもちいい。
この季節は、1日中、屋外で過ごしたくなります。
そんな風に四季を感じる喜び、日常の暮らしの中で目にする小さな愉しみ。
『テディベアのルドヴィック』は、そんなしあわせが詰まっている作品です。

『テディベアのルドヴィック』より
主人公は、タイトルが示すとおり、テディベアのルドヴィック。
人間でいえば、3、4歳の男の子というところでしょうか。
冬から始まって、春、夏、秋…
それぞれの季節の中で、幼いルドヴィックが、
さまざまな出来事を体験し、心を揺らし、成長していく様子が愛情込めて描かれている、
珠玉の“ぬいぐるみアニメーション”四季4部作です。
ルドヴィックに命を吹き込んだのは、
カナダに住むアニメ作家の大御所コ・ホードマン。
砂を素材にした『砂の城』(1978)でアカデミー賞を受賞したことでも知られています。
『テディベアのルドヴィック』は、
ルドヴィックを少しずつ動かしながら、ひとコマずつ撮影する手法が用いられており、
コ・ホードマンひとりで監督・アニメーション・撮影を担当。
登場するテディベアたちはもちろん、舞台になる家や家具など、セットのすべてが手作り。
合計して48分の作品ですが、5年の歳月をかけて丁寧につくられています。
ルドヴィックが新しい友達と出会う、冬を舞台にした『雪の贈り物』。
折り紙を思わせる色とりどりの動物たちが元気に動き回る、夏が舞台の『ワニのいる庭』。
夏休みにおじいちゃんの家に遊びに行く『おじいちゃんの家』。
そして、秋、ルドヴィックは初めて恋をする!『空に浮かぶ魔法』。
4編に共通するのは、余計な言葉や説明がないということ。
幼いルドヴィックの行動は、心のまま。
不思議に思ったり、悲しんだり、喜んだり…
その感情が、台詞らしい台詞はほとんどないのに、しっかりと伝わってくる。
ルドヴィックをやさしく見守る“おじいちゃんベア”は、何も話さない。
でも、その大きな動きだけで、ルドヴィックへの愛情がたっぷりと伝わってくる。
日常生活には、言葉や説明が溢れているけれど、
本当に伝えたい言葉は、そんなにたくさんはないものかもしれない。
言葉の無駄遣いをしていないかな…と、この映画を観ながら、ふと思いました。
言葉の通じない国の人と感情を伝え合えたときの喜びや
言葉を介しない犬とのコミュニケーション。
伝えたい気持ち、わかりたい相手の気持ちは、
言葉以外の方法でも伝えたり、察したりできるということ、
あたりまえのことなのだけれど、あらためて、思い起こされました。
それにしても、いとおしい。
日々の暮らしをいつくしむコ・ホードマンの視点が所々に感じられ、
観ている人の心をぬくもりで満たしてしまう、そんな映画です。
大きなスクリーンで、この世界にとっぷりと浸ってください。
今週の土曜日24日から、モーニング&レイトショー公開されます。
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