2004-03-25 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
今日、ご紹介するのは昨秋に公開された日本映画『ロボコン』です。
劇場公開時はそんなに話題にならなかったような気がするのですが、
いいのです、この映画。
主人公は、どうにもやる気の出ない日常を送っている高専の女子高生・里美。
ある日、彼女は先生から1ヶ月の居残り授業を言い渡されます。
なんとか、その授業をパスしようと先生にお願いする里美。
すると、先生は言います。
「居残りをしなくて済む方法が、ひとつだけあるぞ」。
「何ですか?」
「ロボット部に入って、ロボコンに出場するんだ」。
先生に案内され、彼女が連れてこられたのは、同じ高専の第2ロボット部。
部員は里美のほかに3人。
ロボコンをこよなく愛するが、どうも統率力のない部長。
頭脳明晰だが、強調性に欠ける航一。
腕はいいクセに、真剣になれない竹内。
それぞれにやる気がないわけではないのだが、どうにもかみ合わないロボット部員たち。
そんなロボット部に入部し、最初はやる気のなかった里美も、
試合に出場し、思うような結果が出せないことに苛立ちをおぼえはじめます。
退屈な毎日を送っていた彼女の中で、何かが変わっていく…。
やる気に目覚めた里美の影響で、
ロボコンにも自分自身にも、そして周囲の人たちにもまっすぐに向かいきれず、
どこか気弱だった部員たちの歯車が次第にかみ合い始めます。
彼らの作ったロボットのアイディアが認められ、全国大会の出場が決定。
優勝を目指す部員たち。果たして、その結果は—。
監督は『まぶだち』の古厩智之監督。この監督の映画を観ていると、ひねくれ者のクラスメートのピュアな部分をうっかり見つけてしまったときのような、なんとも嬉しいような、くすぐったいような気持ちになってしまいます。戸惑いもジェラシーも、切なさも夢中になることに出会えたときのときめきも、うれしさも、この映画にはすべてが詰まっている。映画の中に、ちゃんと登場人物たちのリアルな日常が息づいているのです。こういう映画は、自分自身の感情と正直にしっかりと向き合いながら生きている人にしか撮れないな…心にずしんと響きます。
また、黒沢清監督の映画『アカルイミライ』(2002)でも音楽を担当しているパシフィック231の音楽も心をくすぐります。古厩ワールドと絶妙に合っていて、なんだか、ほっこりとかわいくて、切なくてやさしい…言葉にならない大切な感じが響きます。
主演の長澤まさみも、のびのびしていて、女の子の魅力にあふれています。部員たちの気持ちが段々と噛み合ってきた頃、4人でいるときに彼女が言う「ずっと今日が続けばいいのに」という台詞にキュンとくる青春映画です。