2004-03-18 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
今日、ご紹介するのは、今月27日から公開される、ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン主演のラブ・コメディです。ジャック・ニコルソンといえば、ちょっとクセのある独特の存在感が印象的。この人にしか出せない、なんともいえない人間のかわいさが本作でも存分に発揮されていて、楽しませてくれます。

映画『恋愛適齢期』より
(C)2003 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
この映画の主人公エリカは、年の頃は50代くらいの売れっ子劇作家。離婚を経験した彼女には、成人した娘がいます。ある日、娘が彼女の別荘にボーイフレンドを連れてくるのですが、そのボーイフレンドが、なんとジャック・ニコルソン演じるハリー。音楽関係の仕事をするプレイボーイのハリーは、エリカとはまったく毛色の違う人種。何より、自分とほぼ同世代のボーイフレンドを娘が連れてきたことに、エリカは驚きを隠せません。
そんな折、エリカの別荘を訪問していたハリーに事件が! なんと、心臓発作で突然、倒れてしまったのです。エリカたちが慌てて病院に運び込み、どうにかハリーは一命を取り留めますが、退院後の療養のため、ハリーはエリカの別荘に滞在することに。まったくかみ合わない男女が、ひとつ屋根の下に暮らすことになって…。
この映画の監督は、『ハート・オブ・ウーマン』を撮った女性監督、ナンシー・メイヤーズ。微妙な女心の機微を細やかにコミカルにスクリーンに映し出して、観ていて和まされます。この映画を観てから、ひと月くらい経つのですが、それでも鮮やかに浮かび上がってくるのが、すっかり打ち解けたハリーとエリカが、時計の針がよく見えなくて互いに老眼鏡をかけて見ようとする場面。何気ないシーンですが、いい場面だなあ…と思いました。自分の格好悪いところを出せて、それをありのまま受け止めてくれる相手なんて、そうそういるものじゃない。ちょっと肩肘を張って生きてきた…というより、甘えるのが下手なしっかり者のエリカが、彼女の弱いところにしっかり届くハリーという男性に出会う。これまで、自分よりひとまわりも、ふたまわりも年下のガールフレンドとばかり付き合ってきたハリーも、エリカといることで、自分と向かい合うことに目覚めていく。50代を過ぎて、互いにそんな相手に出会えたふたりの関係が、ほほえましく、時にジーンとさせます。
エリカに恋する男性として、キアヌ・リーヴスも若い青年医師の役で登場します。ここしばらく『マトリックス』のネオの印象が強かったキアヌ・リーヴスですが、さわやかな医師役が新鮮です。そして、とにかくダイアン・キートンが美しい。容姿の美しさももちろんですが、そこに人間としての美しさが滲み出ていて本当に素敵。はるか年下の青年医師から恋焦がれられるという設定も、ダイアン・キートンが演じると説得力があります。
ニューヨーク、ハンプトン・ビーチにあるエリカの別荘のインテリアも素敵です。美術を手がけたのは『ハート・オブ・ウーマン』も担当したジョン・ハットマン。観終わったあと、あたたかな気持ちになる作品です。