2004-02-05 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
「愛とは、何か?」
—そんなぶしつけな質問は、したこともされたこともないけれど、
敢えて、そんなことを考えてみるとしたら…
「自然と身の周りに存在しているものだから、
普段は特に意識しないけれど、もし、ないとしたら、ひどく辛いもの」な気がします。
実際の生活のあらゆる場所に、愛は溢れている。
Love actually is all around.
その頭の部分をとって、『ラブ・アクチュアリー』と題されたこの映画。
クリスマス直前のロンドンを舞台に、夫婦や恋人同士、親子や同僚…
いろいろな「ふたり」の身近な愛が描かれていきます。
その数、総勢19人。
物語が後半に差し掛かるに連れて、
それぞれの「ふたり」が他の「ふたり」とつながり、その関係性が明らかになっていく…
とてもあたたかでスマートなアンサンブル劇です。
総勢19人による様々な「ふたり」。
その内訳をちょっとだけ覗いてみると…
ひとりは、幼い少年。
学園のアイドルに恋をした彼は
彼女に振り向いてもらおうとドラムの猛特訓を始めます。
少年の一途な思い。その行方は—。
そして、その少年と義父による「ふたり」。
あたたかな親子の図。
義父を演じるのは、
『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のリーアム・ニーソン。
場所を移してみれば、
職場の同僚に、2年と7ヶ月の間、片思いしながら、
なかなかその気持ちを伝えられない女性も、いたりして。
そして、物語の軸になるのは、首相と秘書の恋。
政治家も人間。
歴史上の大きな出来事を紐解いていくと、
「政治家のこんな個人的な事情が発端だったのか!」と
驚いたり、あきれたり、腹が立ったりすることが、ままありますが、
ここでも、そんなエピソードが描かれていて、
ちょっとシニカルで、人間臭くて、おかしいです。

映画『ラブ・アクチュアリー』より
これが、首相と秘書の恋。左がヒュー・グラント。
ちなみに、私が好きなのは、
朴訥としたミステリー作家と、
彼のもとで働くことになったポルトガル人のメイドの女性との恋のエピソード。
言葉が通じないふたりなのですが、
言葉になる前の感情のエッセンスを、互いがちゃんと感じ取りあっている。
ラストシーン近くで描かれている
それぞれが互いために準備していた
“サプライズ”にも、じーんときてしまいました。
ちなみに、この作品は、
『フォー・ウェディング』(94)
『ノッティング ヒルの恋人』(99)
『ブリジット・ジョーンズの日記』(01)など、
ウィットに富んだ作風の人間味あふれる作品を世に送り出したイギリスのスタジオ、
ワーキングタイトルの作品。
そして、上に挙げた3作品にすべて主演しているのが、
『ラブ・アクチュアリー』で英国首相を演じるヒュー・グラント。
来日記者会見では「あなたが首相の立場になったら、どうしますか?」との質問に、
「その権力を思い切り乱用するよ。女性は権力に弱いからね」と
得意のシニカルなジョークで応答。
彼独特のコミカルな「間合い」はスクリーンでもフルに発揮されていて、楽しめます。

ヒュー・グラント、来日記者会見でのショット。
劇中、実にビミョ〜なソロ・ダンス・シーンがあるのだが、
それについては、「映画史上に名を残す最悪のシーンだと思う」と爆笑コメント。
「でも、リズム感がいいですよね」とフォローが入ると、
「あれは、映画を編集する際に、編集でリズムを合わせたのでしょう」とすかさずジョークで応答。
首相役のヒュー・グラントの他にも、
『パイレーツ・オブ・カリビアン』で注目されたキーラ・ナイトレイ、
『ミスター・ビーン』のローワン・アトキンソンなどが出演。
実力のある俳優たちのさり気ないアンサンブルが楽しめてしまうのも贅沢なところ。
コミカルで、ホロっとさせて、見る人を素直な気持ちにしてしまう作品。
今週末7日からの公開です。
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