2004-01-01 号
多賀谷 浩子(フリーランス・ライター)
新たな年を迎え、きもちの引き締まるお正月。初詣に出かけたり、親戚に挨拶したりして清々しいお正月の空気を満喫しんだら、のんびり家でビデオ鑑賞なんていかがでしょうか。とはいえ、お正月といえば、休日を楽しむ人たちでレンタルビデオ屋さんが賑わうシーズン。新作はレンタル中だったりすることもしばしば。そこで、面白いのにわりと穴場(?)かも…という作品を取りあげたいと思います。『バンディッツ』という2001年の映画です。
この映画は、ブルース・ウィリスとビリー・ボブ・ソーントンのふたりが演じる脱獄囚の凸凹コンビが巻き起こすお気楽ロードムービー。ジャンルとしてはクライム・ムービーなのだけれど、血なまぐさい描写は一切なし。現実・日常をまったく感じさせない非日常的な逃亡劇を描いた娯楽作です。ブルース・ウィリスというと、『ダイ・ハード』(88)などアクション映画の印象が強いかもしれないけれど、この作品で演じている役柄はやや異色です。
監督は、『レインマン』(88)のバリー・レビンソン。『レインマン』は、トム・クルーズが名優ダスティン・ホフマンと競演したアカデミー作品賞受賞作。遺産の手続きの際に、自分に知的障害をもつ兄がいることを初めて知った男が、戸惑いながらも兄と心通わせていく様子を描いたグっとくる作品です。ダスティン・ホフマンの名演は、自然すぎて演技と思わせないほど。ちなみに、ダスティン・ホフマンといえば、数々の名作に出演していますが、『クレイマー・クレイマー』(79)は父と子の絆を描いた話題作。涙なしには見られません…。
『レインマン』も、兄弟が次第に打ち解けていく様子が「旅」を舞台に描かれているのですが、この『バンディッツ』も脱獄した男ふたりの逃亡劇なので、「旅」が舞台。「日常」から懸け離れた「旅」を舞台にすると、映画の雰囲気が開放感であふれます。『レインマン』で描かれた兄弟の人間関係を、もしも家を舞台に描いていたら、もっと深刻な重めの作品になったはず。『バンディッツ』の魅力のひとつは、舞台が旅であることから生まれる期待&お気楽ムード。旅は道ずれ、世は情け。ふたりの男の旅には、いろいろなことが起こります。強盗に入った家で若者に説教を始めたり、おかしな変装を試みたり…。楽しいことなら何でもアリのふたりの逃亡劇ですが、途中、日常生活に不満を抱き家を飛び出した謎の美女が出現。彼女も入れて3人になった彼らの旅。一体どうなってしまうのか…。
主人公3人を、ブルース・ウィリスとともに演じるのは、ビリー・ボブ・ソーントンとケイト・ブランシェット。共に演技派で、演じる役柄によって別人?と思わせるくらいに違った印象を残すふたり。スター肌のブルース・ウィリスを演技派のふたりが支えている、このバランスが玄人好みのキャスティング。ここも、この映画の魅力です。
ビリー・ボブ・ソーントンは演技力が高く評価されている個性派。監督・脚本・主演をつとめた『スリング・ブレイド』(96)は、刑期を終え社会に戻ってきた不器用な男と少年の絆を描いた繊細で心に響く物語。ほかにも、黒人初のアカデミー主演女優賞に輝いたハル・ベリーと共演した『チョコレート』(01)やコーエン兄弟監督作『バーバー』(01)などに主演。彼の演技、見ごたえあります。
そして、謎の美女を演じているケイト・ブランシェットは、オーストラリア出身の演技派。『エリザベス』(98)での演技が素晴らしかった彼女。作品ごとに、演じる役ごとに別人?と思われるくらいに違った印象を残すカメレオン・タイプの女優。話題作『ロード・オブ・ザ・リング』(01)にも出演しています。
…と、いろいろな作品に寄り道しましたが、いかがだったでしょうか?どれか見たい作品はありましたか?レンタルビデオ屋さんで何の知識もなしに直感で1本気になる映画を借りてみて、それが気に入ったら、その作品の監督や出演者が出ている映画を見ていく…というイモヅル式映画鑑賞も楽しいです。悩んでいたことの答えが、ふと映画の中に見つかったり…なんていう嬉しい出会いもあったりして、映画を通して自分の好きなものがわかったりします。今年も、うれしい出会いがありますように!